Tカード

愛媛県八幡浜市の未利用魚プロジェクト

魚とみかんのまち八幡浜から新しい魚食文化を発信

北は瀬戸内海、西は豊後水道(宇和海)に面する愛媛県八幡浜市。約200種の魚が揚がる四国有数の漁港と、高品質なみかんで知られるまちですが、主力であった漁業は資源量の減少などによる衰退が課題となっています。一方、網にかかっても価値がつかずに捨てられてしまう「未利用魚」の問題もあり、八幡浜ではアイゴという魚が未利用魚の代表選手のような存在になっています。

魚は減っているのに、未利用魚は未利用のまま。この課題に、八幡浜で魚肉練り製品の会社「オーシャンドリーム」を営む松浦康夫さんと、スーパーマーケット「信濃屋食品」の岩崎忠之さんがタッグを組んで挑みました。

さらにこのプロジェクトには、Tカードのビッグデータを活用して「エシカルな食を生活に取り入れている」T会員を導き出し、生活者代表として商品開発に参画いただいています。未利用魚の課題や八幡浜のアイゴについて知っていただき、「みんなで社会課題の解決にチャレンジする」仕組みをつくっていけたらと考えています。

八幡浜のアイゴを、海にも
漁師さんにも嬉しい商品に

アイゴはクセのない白身で、新鮮なうちに処理をすればお刺身でも火を通してもおいしく食べられる魚です。ただ、海藻を食べる魚で、時間がたつと磯臭さが強くなることなどから人気がなく、処理がされずに廃棄されているのが現状。それなら「とらなければいいのでは?」と思いますが、アイゴは磯焼け(藻場がなくなってサザエやアワビが育たなくなる、魚が海藻に卵を生みつけられず生態系が崩れるといった現象)の一因になることから、網にかかった魚は水揚げの対象になっています。

今回の商品化にあたっては、漁師さんから新鮮な状態で仕入れ、適切な処理をした鮮度抜群のアイゴをオイル漬けに。松浦さんは、「アイゴを使ったおいしい商品ができれば、定置網の漁師さんがアイゴを売り物として持ち帰ってくれるようになります。漁師さんのお金になるし、海にもいい。アイゴは全国的に未利用魚となってしまっているので、今回の八幡浜の取り組みが、新しい魚食文化の発信になればいいなと思います」と語ります。

動画で知る、
未利用魚活用プロジェクト

商品紹介

アイゴあふれるオイル漬け
アイゴあふれるオイル漬け

地元の食材を長年扱うオーシャンドリームの松浦さんと、食の楽しさ、おいしさを追求する信濃屋の岩崎さんのコラボによって誕生した、新感覚のアイゴのオイル漬け。“アイ”ゴの名前が象徴するように、“愛”媛産の原材料をたっぷり使用し、“愛”にあふれる人たちが一丸となってつくりあげました。

白身魚の中でも濃厚な旨味をもつアイゴは、火を入れてもかたくならないのでオイル漬けには最適。アイゴやみかんの皮、ナッツのおいしさが溶け込んだエキストラバージンオリーブオイルごと、たっぷりバゲットなどにのせてお召し上がりください。完成度の高さは、これまでアイゴが未利用魚とされてきたことに驚きを感じるほどで、オレンジワインなどの複雑な味わいにもよく合います。

また、加工の段階で出るアイゴの骨や頭は、魚のアラを飼料や肥料にリサイクルする加工業者に回収してもらっています。これによって商品づくりにおける魚の廃棄ゼロを実現しました。「海に未利用魚という名の魚はいない」とは八幡浜の漁師さんの言葉ですが、人間の考え方ひとつで、魚は未利用にも心身の栄養にもなります。まずはアイゴをおいしく食べることから、海の未來に貢献しませんか?

おいしさの秘密

水揚げから加工まで八幡浜市内で完了
水揚げから加工まで
八幡浜市内で完了
加工を担当するオーシャンドリームは、八幡浜の市場から車で10分ほどの距離にあります。新鮮なアイゴを市場で直接買いつけ、加工、瓶詰めまで一貫して現地で行えるため、鮮度は抜群。
冷たいままでも温めてもおいしい
冷たいままでも
温めてもおいしい
ひと口サイズに切ったアイゴをオリーブオイルに漬けて火入れすることで、やわらかな食感に仕上げました。そのままやサラダにのせて冷たいままでも、加熱してアヒージョやパスタにしても食感が変わりません。
厳選した原材料でおいしいと安心を実現
厳選した原材料で
おいしいと安心を実現
原材料はアイゴのほか、オリーブオイル、にんにく、ミックスナッツ、みかんの皮、唐辛子、ローリエ、しょうゆ、塩のみ。化学調味料や添加物を一切使わず、食感も風味も豊かなオイル漬けが完成。
木桶仕込み醤油とみかんの皮がアクセント
木桶仕込み醤油と
みかんの皮がアクセント
大洲市にある「梶田醤油」の木桶仕込み醤油と、八幡浜産の温州みかんの皮が味わいのアクセント。和にも洋にもアレンジでき、ナチュラルワインとの絶妙なマリアージュを生み出します。

手軽なアレンジレシピで毎日の食卓にエシカルを

玉ねぎとアイゴのマリネやっこ
玉ねぎとアイゴのマリネやっこ
風味たっぷりのオイルにスパイスを加えてエスニックに仕上げた冷奴。豆腐にのせずにマリネだけでも、また、カレーと一緒にアチャール代わりにも。
材料(作りやすい分量)
  • アイゴあふれるオイル漬け 1/2量
  • 紫玉ねぎ 1/2個
  • 豆腐 適量
  • 醤油 少々
  • ★白ワインビネガー 小さじ1
  • ★クミンパウダー 少々
  • ★黒胡椒 少々
  • ★塩 適量
  • ★ディル 適量
  • 紫たまねぎは薄切りにして10分ほど水にさらし、水気をよくふきとる。
  • ボウルに1、アイゴあふれるオイル漬け、★の材料をすべて入れてあえる。好みで豆腐の上にのせ、醤油をかける。
アイゴのクリスピーピザ
アイゴのクリスピーピザ
カリカリ食感がおつまみにぴったりなクリスピーピザ。レモンをたっぷりかけると、八幡浜みかんの皮の香りが引き立ちます。キリっと冷やした白ワインやクラフトビールに。
材料(2人前)
  • アイゴあふれるオイル漬け 1/2量
  • マッシュルーム(薄切り) 4個
  • モッツアレラチーズ(薄切り) 50g
  • ピザクラスト(薄焼きタイプ) 1枚
  • クレソン 適量
  • 塩・黒胡椒 適量
  • レモン 適量
  • ピザクラストにマッシュルーム、モッツアレラチーズを並べ、アイゴあふれるオイル漬けを、オイルごと均等に回しかける。
  • トースターでこんがり焼き色がつくまで焼く。クレソンと塩・胡椒をちらし、好みでレモンを絞ってまわしかける。
※アレンジレシピは、未利用魚活用プラットフォームに参画するT会員のみなさまのアイディアを元にしたものです。

プロジェクトメンバー紹介

  • 伊藤 篤司
    伊藤 篤司
    八幡浜センチュリーホテルイトー
    代表取締役
    東京のパレスホテルに勤務後、八幡浜に帰郷。ホテル経営のかたわら「八幡浜ちゃんぽんプロジェクト」「えひめ技あり鱧プロジェクト」などを立ち上げ、食を通じた観光まちづくりに取り組んできた。
  • 岩崎 忠之
    岩崎 忠之
    株式会社信濃屋食品
    商品部部長
    全国の生産現場に足を運び、生産者の方々の想いやこだわりと環境問題を意識し、日本の誇れる木桶仕込み調味料を活用しながら商品開発や食の価値を上げる取り組みに注力。
  • 松浦 康夫
    松浦 康夫
    株式会社オーシャンドリーム
    代表取締役
    2009年 愛媛県庁の未利用魚を使った商品開発・販売事業に参加し独立。
    迫り来る海の現状に恐怖を覚え八幡浜漁港の持続可能な漁業を目指し地域一丸で商品開発を展開中。
  • 八木 秀志
    八木 秀志
    愛媛県 南予地方局 八幡浜支局 水産課
    課長
    平成2年度愛媛県入庁。県下の水産試験場で水産生物の増養殖の研究に18年間従事。
    以降は栽培漁業や漁業権を中心とした水産行政全般を担当。
  • T会員
    T会員
    “エシカルな食を生活に取り入れている”生活者代表のラボメンバーのT会員のみなさま