持続可能なスタイルで船橋の江戸前漁業を未来へ
千葉市に次いで千葉県第二位の人口を誇る船橋市は、江戸時代には漁師町として栄えた土地で、都市化が進んだ現在も東京湾有数の本格的な漁業が行われています。とはいえ、魚種の変化や漁獲量の減少は著しく、携わる漁業就業者も激減。東京駅から車や電車で約30分の距離にある船橋で、漁ができていること自体が奇跡に近いといえます。
その伝統ある船橋で漁業を営む「大傳丸」の大野和彦さんと「中仙丸」の中村繁久さんは、東京湾の変化を肌で感じてきました。近年はスズキをメインに水揚げしてきましたが、とれるだけとってしまうとスズキも枯渇してしまいます。そこで、産卵期を避けた4月中旬〜11月初旬にスズキ漁を限定。11月中旬〜1月、3月~4月中旬は量が安定しているコノシロを水揚げし、2月は自主休漁期間として資源管理に取り組みながら江戸前(東京湾)漁業を行っています。今回の取り組みで、これまでほとんど出回っていない東京湾のコノシロのおいしさをお伝えします。
コノシロとはどんな魚?
コノシロはニシン科の魚で、シンコ→コハダ→コノシロと通称を変える出世魚(魚種名はコノシロ)です。とくにサイズの定義はなく、5cm程度の幼魚をシンコ、10cm程度までをコハダ、それより大きくなったものをコノシロと呼んでいます。一般に出世魚というと大きくなるほど価値が高まりますが、初夏のシンコやコハダは江戸前寿司の風物詩にもなっており、コノシロの場合は小さければ小さいほど高価です。
コハダを口にしたことがある方も多いと思いますが、コノシロはクセがなく、上品でおいしい魚です。ただ小骨が多いのが難点で、サイズが大きくなるほど骨があたるため、骨の処理が必要になってきます。商品化にあたっては、「大傳丸」の大野和彦さんと「中仙丸」の中村繁久さんが代表取締役を務める「海光物産」と、国産・オーガニックフードストア「こだわりや」の藤田友紀子さん、開発メーカー「エスエスフードインターナショナル」コノシロPJチームが共同で試作を重ね、骨まで食べられる高温高圧加工を施すことで、コノシロをおいしい煮魚に仕上げました。
さらに、Tカードのビッグデータを活用して「エシカルな食を生活に取り入れている」T会員を導き出し、生活者代表として取り組みに参画いただいています。試食などで商品開発に協力いただくだけでなく、対話を重ねて江戸前漁業の現状、課題を知っていただき、貴重なアイディアをいただきました。漁師、加工業者、流通、生活者がみんなでつくった「船橋漁港のコノシロやわらか煮」を、ぜひお試しください。
商品紹介
船橋漁港にあがる江戸前(東京湾)のコノシロを、生姜としょうゆ、酒、みりん、てんさい糖のみで味つけし、ふっくらやわらかな煮魚に仕上げました。クセがなく上品なコノシロの味わいを引き立てるため、甘さは控えめ。生姜のさわやかな香りとあいまって、後味もスッキリとして、食べ飽きないのが特徴です。
毎日のごはんのおかずはもちろん、お酒のおつまみに、お弁当のおかずにもぴったり。封をあけてお皿に出すだけで一品ができあがり、温めるとさらにおいしくいただけます。製造日から1年間保存が可能なので、少し多めに購入し、栄養価の高いおいしい保存食としてローリングストックするのもおすすめです。
おいしい魚なのに小骨があたるなどで利用が限定されていたコノシロが、船橋の漁師さんの協力と海光物産の下処理の技術、エスエスフードの加工技術、こだわりやの商品開発の経験によって、おいしくアップデート。さらに適正価格で販売するエシカルフィッシュの取り組みは、新しく、持続可能な漁業のスタイルとしても注目されています。
おいしさの秘密
手軽なアレンジレシピで毎日の食卓にエシカルを!
長芋フライ添え
- コノシロのやわらか煮 1パック
- 長芋 7cm
- 片栗粉 大さじ1
- 植物油 適量
- 木の芽(または粉山椒) 適量
- コノシロのやわらか煮は湯せんで5分ほど温める。長芋は皮をむいて棒状に切り、片栗粉をまぶす。
- フライパンに植物油を熱し、こんがりきつね色になるまで1の長芋を揚げ焼きにする。
- 温めたコノシロのやわらか煮を器に盛り、煮汁に2をからめる。好みで木の芽を散らす。
- コノシロのやわらか煮 1パック
- 松の実 大さじ1〜2
- フェンネルシード 小さじ1/2
- イタリアンパセリ 適量
- オリーブオイル 適量
- 塩 適量
- 好みのパスタ 100g
- パスタは塩を加えた熱湯で、袋の表記時間通りにゆでる。
- フライパンにオリーブオイルと松の実、フェンネルシードを入れて中火にかける。松の実が色づいてきたら、コノシロのやわらか煮の煮汁を加える。
- ゆでたパスタを、ゆで汁少々とともに2に加えてよくあえる。イタリアンパセリを加えてさっとあえ、塩で味を整える。コノシロの柔らか煮の身を入れて温め、器に盛る。
プロジェクトメンバー紹介
-
大谷 英和株式会社エスエスフード
インターナショナル
営業・営業企画担当外食の販売促進や厨房責任者を経て、委託給食の仕入や商品企画開発を経験。現在は食品メーカー「エスエスフード」にて、様々な角度から「食」に携わった経験を活かした商品提案を行う。 -
大野 和彦株式会社 大傳丸 代表取締役兼船団長
海光物産株式会社 代表取締役1993年 中仙丸 中村社長とともに海光物産の代表取締役に就任。日本初のFIP(漁業改善プロジェクト)を開始し、江戸前漁業100年継続を掲げ、次世代に繋ぐ活動に尽力する。2022年 MEL(マリンエコラベル・ジャパン)Ver.2.0認証を取得。 -
中村 晃大有限会社 中仙丸
海光物産株式会社 常務取締役2014年 有限会社中仙丸に入社。
家業である旋網漁業の環境に慣れるべく、学生の頃から手伝いをしてきた。現在は、一人前の漁労長となれる様に日々奮闘している。 -
中村 繁久有限会社 中仙丸 代表取締役
海光物産株式会社 代表取締役1979年以来、船に乗り込みその時々の職務の立場から東京湾/船橋の漁業を見て来た。その後は海光物産株式会社の立ち上げに参加して、その中で対象魚種を含む資源の変化を感じ、漁業改善計画の取組みに参加し現在に至る。 -
藤田 友紀子株式会社こだわりや
専務取締役国内産・外国産の自然食・オーガニック食品の専門小売店にて、27年間バイヤーとして商品開発、地域産品発掘、MDに従事。オーガニック、ナチュラル、サステナブル、健康、環境保全、社会貢献をキーワードに商品展開。 -
松村 勝治株式会社エスエスフード
インターナショナル
常務執行役員 営業部長営業部を統括しつつ、自らプレイヤーとしても精力的に営業活動を行う。一方でアパレルのラグジュアリーブランドにいた経験を活かし、商品パッケージを含めた、今後のエスエスフードの主力になり得る商品開発にも携わっている。 -
宗形 健一郎海光物産株式会社
持続可能な開発推進本部長はこびの達人
2015年より海光物産に参加。鮮魚の卸・流通・加工を手掛ける業務の中で、主に営業や新規事業の取り纏め、直配走による商品と近況情報の伝達等に従事。特に持続可能な事業の継続に注力。 -
山崎 則之船橋漁業協同組合
代表理事組合長2022年 第20代代表理事組合長に就任。39年間に渡り船橋市農水産課の職員として従事し、当時は早朝から漁場へ出るなど漁師と同じ目線で取り組んできた。
行政経験を活かしながら船橋の都市型漁業の活性化に尽力している。 -
弓削田 亮株式会社 大傳丸 取締役
海光物産株式会社 常務取締役2016年より船団員として入社。
現在は漁労長になる事を目標に船長を経験しながら修行中。
また海光物産では元料理人だった事を活かし新商品開発などに参加して意見交換を行っている。 -
T会員“エシカルな食を生活に取り入れている”生活者代表のラボメンバーのT会員のみなさま